1996年、日本からプレイステーション用ソフトとして発売されたバイオハザード(BIOHAZARD)。
※海外名「Resident Evil」
大ヒットとなり、その後続編や映画化が成され、今なお日本のみならず世界中で楽しまれている作品です。この作品に詳しくない方でも、題名を耳にしたことは有るのではないでしょうか。
そんな同作品の続編の一つ、2002年に発売されたゲームキューブ版「BIOHAZARD 0(ゼロ)」。
初回購入特典(予約特典?)として、作中に登場するゾンビ犬(ケルベロス)のプラモデルが付いておりました。
当時の自分、ゲームを楽しみにしていたのも勿論ですが、それと同じ位にこの特典を楽しみにしておりました。
しかし重大な問題が一つ。
このテの、所謂クリーチャー系(動物系)を作った経験がゼロということ・・・。
「0」の特典ダケにね。こりゃ愉快。
その為、このキットを入手してから今に至るまで、手持ちの「積みモデル」として長きに渡り君臨しておりました。
しかし、経験が無いからといって「積みモデル」のままでは自分の技量に広がりも生まれず、何よりこのキットに申し訳ない・・・。
プラモは作ってナンボ!
今回は、初心者が初めて動物系(クリーチャー系)を作成する奮闘記を記事にしたいと思います。
また、「文章ダケでは分かり難い」といった方の為に動画も作成しております。
作成風景は勿論、楽しみながら御覧頂けるように編集しておりますので、是非併せて御覧ください。
開封
さっそく内容物の確認。
先ず気になったのがプラスチックの素材。
一般的なプラモデルで使われる素材(ポリスチレン(PS)系)より随分と柔らかいのが特徴。
柔らかいダケならいざ知らず、ABS系やポリプロピレン(PP)系等だと、接着・加工・塗装に不向き。
というか、恐らくABS系?
ABS系はガンプラの関節などに使われる素材。ポリプロピレン(PP)系とは、ミニ四駆やラジコンのホイールで使用されている素材です。柔らかく、粘りのある素材で衝撃に強い。
箱の説明書を隈無く見渡しても、プラの素材については詳細な記載無し。ゲームに負けず劣らず、自分の脳内に不穏な空気が流れます。
組立て
接着剤について、説明書きには「プラスチックモデル用と表記された・・・」と記載がありますが、本当に使えるのか不安・・・。
ランナーで試してみるも、全く以て接着できません・・・。
説明書きの嘘つき・・・。
その為、ABS系やPP系にも使えるアロンアルファを使用したところ、バッチリ接着出来ました。
主に紙ヤスリなどを使って接着箇所を整えたいのですが、このキットの様な柔らかい素材だとケバ立ちが心配です。
しかし今回のモデルはドーベルマン(動物)。ソレも有りかと考えこのまま進めます。
ちなみに使用したヤスリは下記の「ゴッドハンド神ヤス!」。
スポンジと紙ヤスリが一体化になっている製品です。
価格はチョットお高めですが、曲面での使い勝手はなかなかのものです。
(今回は#240を使用)
本体の塗装
水性アクリルガッシュを使います。
各社から発売されておりますが、今回はサクラのアクリルガッシュを使用。
アクリルガッシュはプラスチックにも塗装出来る絵の具で、プラモデルに使用する方もいるのですが、自分は初めての試み。
プラスチックに塗れるからといって、ABS系やPP系にそのまま塗れるとは思えないので、先ずはプライマーを使用。
その後グレーのサーフェイサーで下地を整え、いよいよアクリルガッシュで塗っていきます。
当然ながら、全ての使いたい色が既存の色として揃ってはいないので、適当に調合して使用します。
先ずは本体から基本色となる(極僅かに白を加えた)黒を筆塗りしていきます。
下地処理などを除き、今回は全て筆塗りで塗装します。
アクリルガッシュの特徴の一つで「筆ムラになり難い」と耳にしていたのですが、そのとおりだと感じました。
乾燥を待つと、その特徴を顕著に見て取ることが出来ます。
続いては足や首、お尻や首回りなどの茶色い箇所をドライブラシで塗装します。
納得するまで、「色の調合→ドライブラシ→色の調合→ドライブラシ・・・」を繰り返していきます。
こうすることで、深みの有るリアルな雰囲気が生まれると思います。
最後に露出した傷口。
勿論そのような塗装を行った事が無いので、ネットでやり方を検索。
「ゾンビ 内蔵 特殊メイク」とかで検索すると、参考になりそうなソレっぽい画像が検出されます。
便利な世の中ですネ。
先ずは露出した骨の塗装。
続いて露出した肉の部分。
ここはヌラヌラとした艶を表現したかったので、クレオスの水性ホビーカラー(光沢・半光沢)を使用。
下地として先ずは肌色系を塗装。
肌色を乗せ終えたら、赤系統を重ねていきます。
ちなみに、何故下地に肌色を選んだか。
一言で言えばネットでこの方法を見つけたからです。
・・・と言っては元も子もないですね・・・。
「傷口の色は?」と聞かれたとき、パッと思い浮かべるのは「赤」ではないでしょうか?
実際のトコロ、勿論赤系統で間違いないのですが、調べてみると実に様々な色が組み合わさっていると感じました。
・濃い赤
・薄い赤
・ほとんど黒にしか見えない赤
・ピンクっぽい赤
・肌色に近い赤
などなど・・・
これらを表現するとき、それぞれの色を理想どおりに調合することは(少なくとも今の自分では)とても困難です。
その為、下地を程良く透過するくらいの薄めの色で、何度も(様々な色を)塗り重ねていくと、良い感じになることが分かりました。
肌色系を傷口の下地に使用したのは、「赤系統の色を塗り重ねたときの発色が自分の理想に近かったから」というのが理由となります。
書いていて思ったのですが、血液が付着していない臓器(と言っても色々ありますが・・・)は肌色に近い色をしていた気がしますからね。
下地に肌色を使用するのは理にかなっていたのかもしれません。
発色の意味合いでも勿論、せっかくの細かな造形を潰しかねないので、薄めに塗り重ねていくのが良いと感じました。
ひとしきり塗り終えたら、ダークグレーなどでスミ入れを行うと良いアクセントになるカモしれません。
最後に頭部の右目眼球や鼻を、セミグロスブラック(タミヤのエナメルカラー)で塗っています。
ここまで終えたら水性半光沢トップコートを軽く吹いておきます。
首輪の塗装と本体への取り付け
アクリルガッシュ(黒)でベタ塗りし、 尾錠や鋲などの金属箇所をクレオスのシルバーで塗装します。
何の変哲も無い首輪ですが、構造上このままでは本体への取付けが出来ません。
組み立ての際、予め首輪を組み込むコトも可能だったのですが、表面処理や塗装のやり難さが容易に想像出来たのでやりませんでした。
その為、塗装後に一箇所カットし、
切れ目から広げて本体にセットし、本体組立てのときに使用したアロンアルファで接着します。
継ぎ目も目立たなくて良い感じです。
気になるようなら接着面箇所をアクリルガッシュで軽く塗り重ねると良いカモしれません。
継ぎ目は目立たないのですが、首輪のサイズが大きい(緩め)です。
今回は行いませんでしたが、自転車やバイクのチェーンのコマを減らして調整するように、首輪の“遊び”箇所をカットしてから接着すると見栄えが良いカモ・・・。
台座の塗装
ここも基本的にアクリルガッシュで塗装。
※本体同様、サーフェイサーまでの下処理を施します。
手順は・・・、
①黒でベタ塗り
②タイル本体のグレー系を調合し、ドライブラシ
③付着した汚れを適当に調合し、軽くドライブラシ
④台座の縁をダークグレーでベタ塗り
⑤「MA39 CERBERUS」の文字をシルバー(クレオスMr.カラー)で塗装
⑥ “⑤”の文字以外の箇所を黒(タミヤ エナメルカラー)でスミ入れ
で表現。
理想の石畳になるまで根気よくドライブラシを重ねる位で、特別なコトはしておりません。
完成
まとめ
今回はこれまでに作ったことがないクリーチャー系(動物系)モデルを(ほぼ)筆塗りダケで塗装するという、自分としては初めて尽くしの試みでした。
何はともあれ、先ずは完成まで漕ぎ着けるコトが出来た自分に拍手。
ひとしきりの自画自賛を終えたトコロで、率直な感想を2点記します。
①思っていたより簡単(アクリルガッシュの素晴らしさを感じた!)
ドーベルマンの毛並み、加えてクリーチャー系の代名詞とも言える傷口・露出した臓物など、諸先輩方のネット上の記事や模型紙、“How to 本” などを参考に、見様見真似で作りました。
完成前は、「初めてとは言え、どれだけ自分の理想像とかけ離れたモノが出来上がるのだろうか・・・」と、不安感が付き纏っていたのですが、いざ完成してみると良い意味で「案外ソレっぽく見えるモノ」が出来ました。
コレに大きく貢献してくれたのが、アクリルガッシュの「塗り直し(修正)が何回でも可能」という点です。
アクリルガッシュの特性の一つ、隠蔽力の強さに助けられ、失敗しても容易に重ね塗りが可能なのが嬉しい点でした。
また、不慣れなドライブラシについても、理想の発色を目指して何度も塗り重ねていく内に、その理想よりも良い発色が得られる場合があったのが嬉しい誤算でした。
②とても楽しい!
子供の頃、絵の具を使ってお絵描きしたコトはありませんか?
粘度で作った人形や怪獣などに、筆で色を乗せたコトはありませんか?
上手い下手など等お構い無しに、思いのままに筆を走らせるダケでも楽しくありませんでしたか?
ソレと似た様な、ちょっと懐かしい感覚を思い出しました。
前述したとおり、制作前は不安感が付き纏っていたのですが、いざ塗装を始めると無心に筆を走らせている自分に気が付きました。
単一色だったドーベルマンがみるみる生気を帯びてくる(とは言ってもゾンビですが・・・)、と言っては格好付け過ぎカモしれませんが、そんな楽しさを味わうコトが出来ました。
もしも自分と同じように、「こういったモデルを作りたいケド、難易度が高そう・・・」と躊躇されている方が居れば、恐れず作ってみるコトを強くオススメします。
スキルアップは勿論、何よりも知らなかった新たな楽しみに出会えるカモしれません。
・・・最後に一言。
カプコンさん。こういったプラモデルの特典を今後もご検討頂けないでしょうか?
(出来れば“クリーチャー系”とか、人物であれば“ハンク”などの脇役っぽい渋いキャラを強く希望!)
ゲームの楽しさは勿論折り紙付きですが、この様なキットを付属頂けると大変嬉しい限りです。
自分以外にも楽しみにしている方は絶対に居ると思うので、ご検討頂けますと幸いです!